ご来院いただいたら、まず所定の問診票に必要事項をご記入いただきます。

　その後、面談の上、現在の症状、過去にご自身が掛かった病気やケガ、ご両親をはじめとするご親族の病歴、現在治療中の病気の有無、などを伺います。

　さらに、東洋医学的な治療方針を立てるため、食欲の有無、食前食後の様子、食べ物の嗜好、睡眠の状況、お通じの様子、生理、出産の状況などを伺います。

　現在気になられている症状以外に、少しでもいつもと違う事やなんとなく変かもしれないけれども関係無いと思っていることなどがあれば、なんでもご遠慮なくお申し出ください。

　こんなこと言って迷惑じゃないか？とか、こんな関係なさそうなことを言ったら変に思われるんじゃないか？と心配される声をたまに伺うことがありますが、意外な事柄が身体の変調を現していることがありますので、是非お話ください。

　問診に続いて、各種検査を行い西洋医学的に御身体がどのようになっている可能性が高いかを判断します。

　まず、患部がどのようになっているかを確認させて頂いた後、徒手検査と呼ばれる検査法を用いて検査します。

　具体的な検査は、座った状態で頭を上から押さえたり、首の周りを圧迫したり、仰向けに寝た状態で片足を持ち上げたり、手足の知覚を確認したり、手足の腱反射をみたりする簡単なものです。

　また、必要に応じて聴覚、視覚の検査、脳疾患などの中枢系の疾患の有無を確認する検査や体温、血圧の測定、関節の動く角度の測定なども適宜行います。

　検査の結果、西洋医学的にどのようになっている可能性が高いかを図表を使いご説明させていただきます。

　ご説明はなるべく分かりやすい表現を心がけていますが、もし分からないことなどが御座いましたら、この時点でお申し出いただければ、ご納得いただけるまでご説明させていただきますので、ご遠慮なくお気軽にご質問ください。

　各種検査で西洋医学的にどのような状態になっている可能性が高いかを判断した後は、東洋医学的な診察を行います。

　東洋医学独特の触診である脈診、腹診、を始め、手足・首の様子、患部の様子などを拝見します。

　脈診は両手の手首の脈を同時に触診し、五臓六腑と呼ばれる各臓器の東洋医学的な状況を判別するものです。

　腹診は、肋骨の下からオヘソの下までの範囲の皮膚の温感冷感、皮膚の張り具合、汗のかき具合、艶の有無、押さえた時の抵抗感、圧痛などを拝見します。

　このほか、手足や背中などの皮膚の張り具合や温感・冷感、汗の具合なども適宜拝見します。

　これらと並行して、皮膚の色艶、身体の動かし方、舌の色艶、話し方、声の質、匂い、などを感知して東洋医学的な治療方針を立てるための情報収集を行います。

　一通りの触診が終わった時点で東洋医学的な治療方針が決まりますので、この時点で、東洋医学的にどのような状況になっていて、どのように治療を進めるかをご説明させていただきます。

　東洋医学の用語は普通の日常生活でお目にかかることはまず無いので、なるべく分かりやすい表現を用いてご説明させていただきます。

　分からないことが少しでもあれば、ご納得いただけるまでご説明させていただきますので、ご遠慮なく何なりとお気軽にご質問ください。

　東洋医学的な治療方針が決まりましたら、すぐに治療に取り掛かります。

　当院で行われている「経絡治療（けいらくちりょう）」は、まず、手足の先にある全身に影響するツボに接触する程度の鍼を施術します。この治療を「本治法（ほんちほう）」といい、これを行うことにより、全身の緊張が緩み、内臓が動き出し、自分で自分の身体を治そうとする「自然治癒力」が活性化されます。漢方医学では、疾病の本体は五臓六腑の不調和によると考えますので、一見内臓と関係なさそうな肩こりや腰痛であっても、まず、この治療から始めさせていただきます。

　本治法を行っていると、ツボに鍼を当てた時点で急に患者さんのお腹がグルグル動き出したり、尿意を催したりすることが良くあります。これは、自律神経がリラックスモードに切り替わって内臓が活性化して動き出した証ですので、お気になさらないで下さい。よく後でお話を伺うと急に尿意が現れ我慢されていたというお話を伺うのですが、我慢は一切不要ですので適宜お申し出くだされば治療を中断させていただきます。

　「本治法」で全身がリラックスモードに変わった時点で、身体各部の不調和を取り除く治療を行います。これを「標治法（ひょうちほう）」と呼びます。この時も、最初は遠隔部のツボを用いて患部の症状を取ることを行います。

　しかる後、必要に応じて、患部に直接、鍼灸の施術を行ったり、手足の特定にツボに熱くないお灸を施術させていただきます。